活動背景
不平等に貧困層へと重くのしかかる自然災害のリスクと被害
7,000以上の島からなるフィリピンは、地震、火山、台風等あらゆる種類の自然災害による被害が毎年発生しています。2018年に発表された世界各国の自然災害のリスクをランク付けした「世界リスク・インデックス」では、フィリピンは世界で3番目にリスクが高いと評価されました。
近年は気候変動によって自然災害の頻度が増し、規模も大きくなっています。フィリピンは地理的な条件により、毎年多くの自然災害の影響を受けていますが、社会的な要因により、自然災害への脆弱性が高く、特に貧困層にリスクと被害が集中しています。
都市化が進むマニラ首都圏では、総人口の約3割(約430万人)が、河川や放水路沿岸周辺等の災害リスクの高い都市貧困地域で、ビニールシートを活用した掘立て小屋を住処として生活しており、台風が発生する度に貧困層の人びとの生活は脅かされています。
一方で、インフラがあまり整備されておらず、社会サービスが成熟していない生活が厳しい農村地域では、発災直後には自治体の自治・サービス機能や経済活動が止まってしまうこともあるため、被災者は毎日の食事や住処を確保することができず、命の危険にさらされてしまいます。また、学校や公共施設等のインフラも脆弱であり、台風や地震、火山噴火による降灰により、学校校舎が壊滅的な被害を受けて、子どもたちが学校で勉強できなくなる事態が往々にして発生しています。
活動内容
発生した災害の被害規模により、初動調査が必要と判断した場合は被災地に向かい、被害状況の調査を実施します。主に被災地の行政機関や地方自治体、また被災地で活動をする国際機関や民間組織への聞き取り調査や、避難所へ訪問してニーズを調査することで、被災地に最も必要なもの・ことの把握を迅速に行います。
ニーズ調査実施後、”Do No Harm(被災地に害悪をもたらさない)”原則、人道支援の国際基準に則って、過去の災害では被災者への食糧(お米、肉や魚の缶詰、砂糖や油等の調味料)の提供、生活必需品(タオル、ベッドマット、ブランケット、石鹸、洗剤、水タンク、桶等)の提供、キャッシュフォーワーク(被災者を復興事業に雇用し、賃金を支払うことで、被災地の円滑な復興と被災者の自立支援を繋げる援助手法)を通した住居の再建等を実施しました。
災害後の中期的な救援としては、キャッシュフォーワークを通した被災地域の公立学校の再建や仮校舎の建設、学用品の提供も実施しました。
活動の成果
2000年~2021年度4月末までで、災害の影響を受けて食糧危機に陥った住民109,884名に食糧を提供し、命を繋ぐことができました。また、台風の影響で全壊した世帯に住宅資材を提供して、キャッシュフォーワークを通して住居の再建をし、合計35,842名の住居を確保することができました。
さらに、台風や火山噴火の降灰による全壊または一部損壊した学校校舎の建設及び修復を行い、合計192教室の建設・修復を行うとともに、10,611名に学用品を提供しました。住宅や学校校舎の修復・建設を通して、3,578名がキャッシュフォーワークを通して収入を得ることができ、生活を再建することができました。
活動に寄付する
現在自然災害への活動は行っていませんが、フィリピンのマニラ近郊での活動に寄付をすることができます。