アイキャンマンスリーレポート2023年10月号

路上の子ども事業 9月25~27日(マニラ)
「『路上が僕の居場所』と語る子どもたち」
報告者:事務局長 福田浩之

路上の子どもの多くは通学できていませんが、通学している子どももわずかにいます。同じ地域で暮らし、生活状況はほぼ同じなのに、通学できる子とできない子の違いを分析するため、フィリピン人職員3名とともに、路上の子ども15名の生活に密着しました。ある子どもはこう言いました。「学校に行きたい。でも、それでお金を稼げなくなると、両親に怒られ、暴力を振るわれることもある。だから僕は家族とは離れて、友達と一緒に過ごしている。路上は僕にとって安心できる場所なんだ。」
アイキャンは、子どもに路上以外の選択肢を提示し、通学を希望する子には通える環境を整えたりしていますが、路上は仲間がいて安心できる居場所だと考える子どももいます。NGO職員として、路上の子どもたちの視点で社会の課題を見つめて介入することが重要であると再認識しました。


多文化共生事業 9月17日(名古屋)
「日本人とフィリピン人の文化交流イベントを開催」

報告者:事務局長 福田浩之

名古屋市の池田公園にて、「在日フィリピン人会名古屋」とアイキャンの共催で「フィリピン・ヘリテージ・フェスティバル」を開催しました。日本人とフィリピン人の文化交流と友好関係の深化等を目的としたこのイベントでは、フィリピンの伝統的な踊りや衣装、歌が披露され、フィリピン製品や料理のブースもありました。アイキャンからは、私が通訳として参加したほか、4名のボランティアの方が集まってくださり、フェアトレード商品を販売しました。京都から来たというフィリピンの方は「これほどフィリピンの多様な文化を取り上げて、多くのフィリピン人が関わっているイベントはない。私は日本に住んで10年近くになるが、自国の誇りを再確認できた。」と語っていました。
*「赤い羽根ポスト・コロナ(新型感染症)社会に向けた福祉活動応援キャンペーン 外国にルーツがある人々への支援活動応援助成」を受けて活動しました。寄付をしてくださった方々に御礼申し上げます。


国内事業 9月28日(岐阜)
「『できること』を見つける力を高める」

報告者:日本事務局 吉田文

アイキャン岐阜出張所が初めての国内研修を行い、愛知大学のボランティアサークルSEEDの学生10名と職員2名が参加しました。これまでアイキャンはフィリピンにて研修を実施してきましたが、経済的にも時間的にも「海外まで行ける」人は限られています。そのため、地域の資源を生かして「自ら課題を見つけ、自分が望む持続可能な社会を考える」機会を提供できないかと考えていました。そのような中、大学から「国内におけるSDGsやエシカルの視点をSEEDに取り入れたい」という相談を受け、今回の研修が実現しました。当日は、地域を歩いて魅力や課題を探したり、地域資源の活用について地元の人から話を聞いたりしました。参加者からは「SEEDとして課題解決に携われるような活動を考えていきたい」などの感想がありました。身近な地域から持続可能なよりよい社会を創造するために、これから考えたり行動したりする力をつけてもらいたいと思います。
*エシカル…英語で「倫理的な」という意味。「エシカル消費」は、人や社会、地域、環境などに優しいものを購入する消費行動やライフスタイルを指す。


【編集者:天羽より】
アイキャンは、岐阜出張所での活動もこれから展開していくとともに、名古屋の日本事務局も「できること」を実践する人がより集まりやすい場となるよう、移転することになりました。
*移転先の住所等についてはこちら