アイキャンマンスリーレポート2023年1月号

フィリピン事業「カリエの夢 ―カリエカフェを再開させること―」

かつて路上で生活していた若者で構成されるカリエは、これまで困難の連続でした。「アイキャンマンスリーレポート2022年11月号」でご報告させていただきましたように、コロナ禍でカリエカフェは閉店を余儀なくされ、オンライン販売を通して経営を立て直そうにも、温度調整ができなくなった古いオーブンを買い替える資金的余裕がありませんでした。そんな折に、福井県のシフォンケーキ専門店Snowcafeの店主との出会いがあり、シフォンケーキを通したカリエの自立のために、昨年11月から12月にクラウドファンディングを実施しました。クラウドファンディングには300名以上の方々が応援くださり、目標金額を達成でき、新品のオーブンや必要な機材を購入することができました。カリエのリカさんは、「こんなにも多くの方々が私たちのことを応援してくれていることを知れて本当に嬉しい」と語っていました。

クラウドファンディング達成後、Snowcafeの店主である渡辺さんと、今回のクラウドファンディングの発起人である佐々木さんが、アイキャンの事業地を訪問されました。渡辺さんからは、シフォンケーキが膨らむ仕組みや失敗する原因を理論的に教えてもらいつつ、カリエのメンバーは、毎日新しいオーブンでシフォンケーキを何個も焼き、技術を磨きました。また、現地のマーケット調査として、近隣のケーキ屋やカフェも訪問しました。12月9日には、佐々木さんの司会のもと、カリエのメンバーは今後の運営について深夜まで真剣に話し合いをしました。その際に、渡辺さんからは、「本当に美味しいシフォンケーキを作って、高い値段でシフォンケーキを販売していく必要がある」と共有されました。それを受けて、カリエのジンボイ君は、「自分の家族や友達にもシフォンケーキを食べさせたい。値段を上げたら食べさせてあげられない。どうすればいいのか?」と答えました。渡辺さんと佐々木さんからは、高い値段で質の高い商品を売り、その利益で路上の子どもたちや自分の大切な人に還元していくことが重要だと共有され、カリエのメンバーも納得し、今後の運営方針に意気込みを見せました。

カリエとアイキャンは、今後2年以内に店舗を構えて、「カリエカフェ」を再開することを目標に掲げています。カリエカフェは、路上の若者たちが職業訓練と収入を得られる場としてだけでなく、次世代の路上の子どもの育成、子どもの権利を啓発する場としても機能していきます。しかし、その目標を叶えるためには、完璧なシフォンケーキを作れるようになること、シフォンケーキの販路の確保、資金集めなど多くの課題が残っています。けれど、カリエのメンバーは、「これまで応援してくださった方々を絶対にがっかりさせない」「Snowcafeのシフォンケーキをフィリピンにも広める」と再開に向けて走り始めています。皆さんの応援なしでは、これまでカリエは課題を乗り切ることはできませんでした。夢に向かって再び走り始めたカリエの頑張る姿を、これからも皆さんに見てほしいです。そのため、カリエの頑張る姿を日々見ることができ、カリエの夢を叶える一員として参加してもらえる場として、1月末より、フェイスブック上で会員限定のオンラインコミュニティ「カリエカフェ」を立ち上げる予定です。カリエもアイキャンも、あなたのお力がまだまだ必要です。ともに、カリエの夢を叶えるパートナーになってください。

※オンラインコミュニティ「カリエカフェ」に関する詳細はこちらを御覧ください。

執筆者プロフィール

ICANフィリピン事務局
福田浩之
~プロフィール~
フィリピン大学修士課程、ICANマニラ事務所インターンを経て、
2013年4月に入職。社会福祉士

<能力強化事業>ボランティアマッチングイベントに出展

愛知県で開催された、「ぼらマッチ!なごや2022」に、職員1名とインターン生1名が参加しました。本イベントでは、「ボランティアをやってみたい」という方の相談に乗ったり、団体の活動紹介を行ったりしました。参加者からは、「高度なスキルが必要ではないボランティアを探してた」、「自分にできることがあればやってみたい」など、積極的な質問や相談を受け付けました。

 

<フィリピン事業>「子どもの家」の子どもたちが遊園地を楽しみました

「子どもの家」の子どもたち16名が、Canva Foundation様のボランティアと一緒に、クリスマスを祝うために遊園地に行きました。「子どもの家」で暮らすジョシュアくん(仮名)は、「遊園地に来たのは初めて。最高のクリスマスプレゼントです!」と喜び、ボランティアからは、「子どもたちは元気いっぱいで疲れたけど、子どもたちの楽しそうな笑顔が見れて、とても嬉しい。」との声が聞かれました。