活動背景

心や体に傷を負い、厳しい環境下で生活する子どもたち

アフリカ北東部に位置するジブチ共和国では、隣国であるイエメン、ソマリア、エチオピア、エリトリア等での紛争、干魃、人権蹂躙等により逃れてきた約33,000人の難民を受け入れています。

ジブチ国内には3つの難民キャンプがありますが、北部にあるマルカジ難民キャンプにはイエメン人約2,400人が、南部にあるホルホル難民キャンプとアリアデ難民キャンプには、ソマリア、エチオピア、エリトリア等から来た約23,800人、首都ジブチ市には約6,800人が生活しており、それらのおよそ半数が、17歳以下の子どもであり、難民キャンプで生まれた子どもも少なくありません。

 

難民キャンプにいる子どもたちは、様々な困難に直面しながら暮らしています。例えば、母国で紛争を経験したことによるトラウマを抱えていたり、親からの暴力や虐待を受けていたり、心や体に傷を負っています。

また、ストレスのかかる難民キャンプの環境下では、子どもたちのみならず大人たちもストレスを抱えています。難民キャンプ内では近隣住民間のトラブルが頻繁に発生しており、大人たちは子どもたちをはけ口に暴力を振るうこともあります。

さらに、ジブチは世界一暑い国と言われており、年間を通しての高い気温や、砂嵐等の自然環境も難民キャンプの生活を過酷にしています。このように、難民キャンプは、子どもたちが安心して暮らせる場所とは言えない状況にあります。

現地の声
マルカジ難民キャンプで暮らす男の子:
マルカジ難民キャンプにやってきた当初は、遊ぶ場所や機会がなく、多くの時間は難民キャンプのテントの中での生活で、閉ざされた日々を過ごしていました。
マルカジ難民キャンプで暮らす女性:
難民キャンプは食糧も住居も十分ではありません。子どもたちのために何かを買うお金もなく、仕事もありません。子どもたちは遊ぶ場所もなく、家にいるばかりで退屈していて、喧嘩ばかりしていました。

活動内容

アイキャンでは、ジブチ国内の全難民キャンプにおいて「子どもの保護」活動を行っています。各キャンプ内にある「子どもの広場」では、お絵かきや塗り絵等の文化活動や、サッカーや縄跳び等のスポーツを通して、子どもたちが紛争等で傷ついた心を癒しながら、「ライフスキル (生きる力)」と呼ばれる創造性や共感性等を身につけることを目的としています。

「子どもの広場」での活動は、アニメーターと呼ばれるボランティアの難民の若者たちが企画・実施しています。そのため、アニメーターに対して、子どもの権利や子どもの保護、難民キャンプ内における自分自身の役割を認識すること等をテーマにした研修も実施しています。この研修を通じ、知識や技術を身につけるだけでなく、難民当事者である彼らが、難民の子どもたちを守っていくこと、自分たちが難民キャンプでできることを実践していくことを目指しています。

 

また、子どもたちや保護者を対象にカウンセリングを実施しています。暴力や虐待を受けている子どもや親を失った子ども等、様々な事情を抱えた子どもや保護者に対し、専門のカウンセラーがカウンセリングを実施し、必要な時に相談ができる環境を整備しています。

その他、子どもたちの中から議長と副議長を選び、難民キャンプ内で起きている問題や子どもたちを取り巻く問題について、「子ども議会」を開催して話し合います。難民キャンプの一員である子どもたちが意見を持ち、表現できるようになることで、自己表現力を身につけながら、子どもたち自身が難民キャンプの環境改善の一端を担うことを学びます。

活動の成果

2020年度、「子どもの広場」の活動に、2,838人の子どもたちが参加しました。新型コロナウイルスの感染が懸念される現在は、少人数で活動を実施したり、ボールや塗り絵等を持って子どもたちの家を訪問しながら活動する等の工夫をしています。

また、新型コロナウイルス感染拡大によって、難民キャンプ内でも心配や不安の声が挙がったことを受け、苦しい環境での適応力やメンタルヘルスの保ち方等をテーマにアニメーター研修を実施し、76名が参加しました。

 

保護者及び子どもたちへのカウンセリングは33件実施し、カウンセリング内容によっては、UNHCR(国連難民高等弁務官)や他のNGO等と連携をすることで、当事者が必要なケアを受けられる体制を整えました。

さらに、「子ども議会」を5回実施し、60名の子どもたちが参加しました。「子ども議会」開始時は恥ずかしがっていた子どもたちも、会が進むにつれ、積極的に意見を発表するようになり、成長した姿が見られました。

現地の声
マルカジ難民キャンプで暮らす女性(アニメーター):
最初にキャンプに来たとき、私は何をして過ごせばいいのかわかりませんでした。ゆっくりと時間を過ごしたり、自己研鑽したりする場所はありませんでした。ですが、アイキャンの活動に関わりはじめたことにより、私にとって良いことが起こりました。新しい人と出会い、その出会いは強い友情として今もなお続き、子どもたちと遊んだり、子どもの権利や子どもの保護等の新しい大切なことを学んだりして、子どもたちにとってより良い環境を考えることが私のできることであると気づきました。アイキャンとの活動の中で一番の思い出は、私たちをキャンプ外に連れて行ってくれて、そこで研修を実施したことです。それは面白くて新鮮で、本当に貴重な経験になりました。アイキャンは、私たちに新しい学びや子どもと密に関わる機会を与えてくれたうえに、このような忘れられない思い出も作ってくれました。感謝の気持ちでいっぱいです。

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