活動内容
「Kaya ko!」は認定NPO法人アイキャンのフェアトレード活動です。タガログ語で「I can」という意味を持つこの活動は、一人ひとりの「できること」を持ち寄って、みんなで社会をより良くしていきたい、そして皆さまにもその一員になっていただきたい、という想いが込められています。
[Kaya ko!の活動]
買い物を通じて平和な社会の構築を目指すフェアトレード(公正な貿易)運動は盛り上がりを見せていますが、生産者の声を届ける機会は限られています。長年生産者と深く関わってきたアイキャンは、経験を基にフェアトレードの意義や生産者の声を広く市民に伝えると同時に、パヤタスごみ処分場で活動する生産者団体SPNPをはじめとする各団体の運営を支え、生産者のエンパワメントと収入向上、日本の消費者との橋渡しを行っています。
活動1.販売活動
フィリピンから、フェアトレード商品生産者団体SPNPの商品を仕入れ、イベントでの出店、企業や教育機関と連携をしながら、店舗や文化祭など様々な場所でフェアトレード商品を販売しています。生産者団体の安定した収入と地域の発展のためにも、連携してくださるパートナーを増やし、より多くの場所で多くの方に、商品を手に取っていただけるよう取り組んでいます。
活動2.啓発活動
フェアトレ―ドに関心を持つ高校生や大学生の事務所訪問を受け入れ、フェアトレードに関する勉強会を実施しています。また、イベントなどの出店の際には、生産者が暮らす地域の様子や抱える問題を示す写真パネル等を活用して啓発を行っています。フェアトレード商品を販売するだけでなく、生産者と深く繋がりのあるアイキャンだからこそできる、啓発活動を心がけています。
「フェアトレードとは?」
フェアトレード(Fairtrade、公正な貿易)とは、貧困のない公正な社会をつくるために、途上国の経済的社会的に弱い立場にある生産者と経済的社会的に強い立場にある先進国の消費者が対等な立場で行う貿易です。適正な賃金の支払いや労働環境の整備などを通して生産者の生活向上を図ることが第一の目的です。
フェアトレード生産者団体について
「Kaya ko!」が販売しているフェアトレード商品は、フィリピンのパヤタス地区で暮らす生産者団体SPNP(※1)によって製作されています。
[生産者団体の背景]
フィリピンにおいて最も生活が厳しい場所の1つとして、マニラ首都圏北東部に位置するパヤタス地区があります。ここは、かつてフィリピン最大のごみ山と呼ばれた地域で、当時は約3,000人がごみ山で換金できる資源を探し、それをジャンクショップと呼ばれるリサイクルショップで売ることで1日約150ペソ(約300円)の収入を得ていました。すぐそばには住宅地が広がっており、住民の健康被害が深刻な問題となっており、ごみ山から出る有毒な化学物資は、様々な呼吸器系の病気の原因となり、不衛生な環境による子どもたちの皮膚病や寄生虫症も少なくありませんでした。
以前ここは美しい谷でした。1993年に政府によってトンドにあるごみ処分場(スモーキーマウンテン)の閉鎖が命じられてから、マニラ首都圏の毎日6,000トンのごみの大部分が、パヤタスに運ばれるようになり、ここがフィリピン最大のごみ処分場となりました。管理が不十分な中、大きくなり続けていたごみ山は、2000年7月10日に何日も降り続いた豪雨によってとうとう大崩落し、周辺に住んでいた500世帯以上の家族が犠牲となりました。今も多くの遺体がごみ山に眠っていると言われています。このごみ山崩落以降、ごみ山以外での収入機会のニーズが住民の中で高まり、そうした要望が住民側から強く寄せられるようになりました。(※2)
アイキャンでは、2000年より地域の母親に対して裁縫技術の訓練を行う、生計向上事業を開始しました。母親たちが個々のスキルを磨くだけではなく、マネジメント研修、マーケティング研修等にも参加し、そこで学んだことを実践で応用しながら、徐々に組織の運営能力を高めていきました。最終的には、2005年に手工芸品制作販売を行う小さな組織を発足させました。当初、アイキャンから材料や労賃等の提供を受けていた母親たちも、組織の発足とともに、コスト計算からデザイン、会計、仕入れ、販売等を自ら行うようになり、アイキャンは運営に一切資金を提供しない、よきパートナーへと関係を変えていきました。現在SPNPは、自ら組織運営を進め、一定の質を保った商品を作成し、日本、及びフィリピン国内で販売することで、家族の食費や子どもの通学費をねん出しています。
(※1)Sikap Pangkabuhayan ng mga Nanay sa Payatas:パヤタスの生計向上のために頑張る母親たち
(※2)パヤタスのごみ処分場は、2017年12月に完全に閉鎖されました。