アイキャンマンスリーレポート2021年11月号


能力強化事業>「自身の足元から始めるSDGs

2007年に日本とフィリピンの子どもたちに各国のイメージを聞いたところ、フィリピンに対しては「バナナ」や「貧しい」というイメージ、日本に対しては「お金持ち」というイメージを多くの子どもが持っていました。このような、「お金持ち」の日本が「貧しい」フィリピンを助けるという関係性ではなく、まずはお互いのことをより深く知ろう、そんな想いで2008年より「トゥライ・プロジェクト」を始めました。「トゥライ」はタガログ語で「橋」を意味し、本プロジェクトが両国の相互理解を促す懸け橋になることを目指しています。
これまで、絵手紙の交換を通して交流を行っていましたが、コロナ禍により、2021年は内容をリニューアルし、①SDGs事前学習、②子どもたちによる動画撮影、③オンライン交流会、の3つの活動を実施しました。①SDGs事前学習では、SDGsが「持続可能な開発目標」を意味することや、2030年までの達成を目指す17の目標について説明しました。②動画撮影では、日本の子どもたちは地域の課題を、フィリピンの路上で生活する子どもたちは、自身の日常を動画で撮影しました。③交流会では、撮影した動画の上映を行い、質疑応答の時間を設けました。
今回初めての試みとなる動画撮影には、2つの目的がありました。1つは、自身の日常や地域を被写体として捉えることで、身の回りのことを客観視し、新たな気づきを促すためです。次に、それらを、SDGsの目標や本来あるべき生活や社会と照らし合わせて捉えなおすためです。参加した子どもからは、「自分たちの生活とSDGsを関連づけて考える良いきっかけになった」、「動画を通して、インターネットの情報だけでは知ることができない、路上で生活する子どもたちの想いや生活を、より詳細に学ぶことができた」等の声が聞かれました。
SDGsという言葉は、私たちの普段の生活でも頻繁に聞かれるようになりましたが、大切なことは、SDGsを自分事として捉え、その達成のために一人ひとりが行動に移すことだと思います。本活動を通して、日本の子どもたちは、フィリピンだけでなく、日本においても解決しないといけない課題が身近にたくさんあると気付くことができました。「ごみの分別を適切に行う」、「ご飯を食べられない路上の子どもがいるので、今後ご飯は残さない」など、参加した子どもそれぞれが、明日から自分たちのできることを語ってくれて、本活動の成果を感じることができ、嬉しく思います。
本活動の実施に加え、広報などを通して本活動を広く伝えることで、人々の気づきを促し、自分たちのできることを足元から実践する「アイキャンな人」の輪を広げていくことも、アイキャンが大切にしている活動です。きっと、皆さまにもできることはあるはずです。

執筆者プロフィール

ICANフィリピン事務所
福田 浩之
フィリピン大学修士課程、ICANマニラ事務所インターンを経て、2013年4月に入職。社会福祉士。

 

ジブチ事業>ホルホル難民キャンプで「子ども議会」が開かれました

子どもたち自身が司会進行を務める「子ども議会」が開かれ、15名の子どもが、体罰に対する自己防衛能力の向上を目指して話し合いました。参加した子どもからは「もし自身にとって嫌な辛いことに直面した時は、親や先生、アイキャンのスタッフに報告したい」や「体罰だけに限らず、もっと子どもの権利について学びたい」等の声が上がりました。

 

フィリピン事業>新型コロナウイルス感染予防啓発活動を実施

元路上の青少年が運営する協同組合「カリエ」のメンバーが、路上の子ども計64名へ、新型コロナウイルス感染予防啓発活動、及び子どもの心理サポートとして学用品やお絵かき道具を配布しました。正しい手洗いの方法を学んだ子どもは、「誕生日の歌を歌いながら手を洗って楽しかった。これなら、20秒以上手を洗うことができる」と話してくれました。

 

<能力強化事業(NGO相談員)>NGO団体へオンライン研修を行いました

NGO相談員として、三重県の国際協力NGOに対し、現地で日本政府と連携した事業を実施するにあたっての適切な雇用・労務形態について、研修を行いました。「本部と現地、両方の立場を理解しつつ経験をもとに色々と聞けたことが大変役に立った」との感想をいただきました。NGO相談員では、NGOからの相談も受け付けており、NGOの能力強化にも取り組んでいます。

 

<ボランティア・寄付推進事業>街頭募金に15名のボランティアが参加

聖霊中学高等学校の生徒10名と、一般ボランティア5名が、「フィリピン路上の子どもたちを応援する街頭募金」を実施し、99名の方々が募金してくださりました。参加したボランティアからは「初めて街頭募金活動をする側になり、人の温かさを感じることができた」や「自分も募金したいと思った」等の感想が聞かれました。