マンスリーレポート2025年7月号

路上の子どもと行政をつなぐ対話の場
報告者:理事 松浦宏二(マニラ在住)

6月28日、路上の子どもの問題に取り組む「関係者」が集う会議をカリエ*1主催しました。参加者は、カリエが路上教育*2を行う地域の子どもたちやアイキャンがサポートする「子どもの家」の子どもたち、各地域の村長や子どもの福祉担当官、警察官等です。全5回のこの会議の目的は、子どもの権利を守るべき立場にある地域の大人たちと路上の子どもたちとの信頼関係を築き、共通の目標をもって路上の子どもが抱える課題に取り組む「協働チーム」となることです。
第2回目となる今回は、路上の子どもが日々直面している問題について、また子どもの権利を守るための行政や警察の取り組みについて共有した後、「子どもの声がなぜ行政に届かないのか」について意見交換をしました。また参加者を4グループに分け、教育、健康、家族・地域、安全の4テーマにおいて、現状と理想、その理想の実現に必要な活動を話し合いました。各グループでまとめた意見を全体に発表し、参加者一同は今後路上の子どもの問題に取り組む上での方向性について共通認識をもつことができました。
地域社会と行政が路上の子どもの現状や感情を理解することで初めて、問題解決に繋がります。アイキャンは、子どもと大人双方にとって暮らしやすい社会が住民主体で築かれていくことを目指し、今後も活動していきます。

*1:カリエ…元路上生活の若者で構成される協同組合。パンや菓子の製造・販売や、路上の子どもたちへの「路上教育」を行なっている。
*2:路上教育…路上の子どもたちが「子どもの権利」を知るとともに、自らの可能性に気づき、将来を建設的に考えられるよう促す活動。


子どもたちが学校で育む責任感と誇り
報告者:「子どもの家」施設長 マリテス
6月16日、約2ヶ月半の長期休みを経て新学期が始まりました。児童養護施設「子どもの家」の子どもたちは、新学期前はいつも「早く始まらないかな」とワクワクしていますが、今年は特に、小学校を卒業して7年生(日本の中学1年生)になった4名が、新しい制服を着て初日を迎えるのを待ちわびていました。
子どもたちは毎日、帰宅すると色々な話をしてくれます。小学生の子どもたちからは「先生が優しい」「新しい友達と話すのが楽しい」といった話を聞きます。一方中高生からは「先生が自分たちを大人として扱い、責任感をもつよう言われている」と聞きました。小学生の頃とは違う先生の対応への戸惑いも感じましたが、彼らの話を聞き、目を見ていていると、大人としての自覚や、進級したことへの誇りが伝わってきます。特に、最近まで小学生だった15歳と17歳の子は、年齢に見合った対応をしてもらえているという感覚なのかもしれません。路上生活で学校に通えなかった日々を挽回しようと、ここまで努力してきた彼らの心には、様々な悩みや葛藤があると思います。思春期の難しい年頃ですが、引き続き見守り、寄り添っていきたいです。


<夏募金、目標達成しました!>
路上の子どもたちが「学び」を継続できるようにと願いを込めた夏募金、目標を達成しました!
ご協力くださった皆さまに、心より感謝申し上げます。
引き続き応援いただくことで、「一人でも多くの子どもたちの学び」の継続に繋がります。
どうか残りの期間も応援してください!
詳細はこちら


【編集者:天羽より】
「子どもの家」の小学生のうち3名は、それぞれのクラスの学級委員長になったそうです。投票で選ばれたと聞き、彼らを誇らしく思いました。このことが自信やさらなる成長に繋がりますように。