【アイキャン30周年】代表理事の鈴木真帆からご挨拶

アイキャン設立30周年をむかえ、代表理事の鈴木真帆からのご挨拶をさせていただきます。


代表理事 鈴木真帆

代表理事 鈴木 真帆

いつも私たちの活動を応援してくださり、ありがとうございます。
アイキャンは1994年にフィリピンで活動をはじめ、今年で30周年を迎えることができました。こうして長く活動を続けてこられたのは、応援してくださる皆さまのおかげと改めて心より感謝を申し上げます。

私自身は2006年にマニラ事務所でインターンからはじめ、早くも20年が経とうとしています。
当時、アイキャンはマニラ首都圏ケソン市パヤタス地区でクリニックを運営しており、私はそこで医療事業を担当をしてました。

パヤタスには毎日マニラ一帯のゴミが投棄され、巨大なゴミ山ができていました。住民の大半はゴミ山から廃品を拾って換金し、1日数百円程度の生活費で暮らしていました。生活環境も劣悪で、ゴミ山から発生する化学物質によりが呼吸器疾患を患う人が多く、ゴミ山の作業中に鋭利なもので怪我をしたり、それがもとでひどい感染症にかかる人も多くいました。
結核、寄生虫、デング熱、肝炎など、日本ではあまりみられない疾患も蔓延していましたが、パヤタスには医療機関がなく、最寄りの病院までの交通費もないことから、住民の要望に応えて、アイキャンがクリニックを運営することになったのです。

もともと途上国で医療支援がしたいと思い、看護師を目指した私にとって、住民とともに作り上げてきたこのクリニックから多くのことを学び、過酷な環境下で暮らしながらも明るい住民にたくさんの元気をもらいました。数年前にゴミ山は閉鎖され、パヤタスのクリニックも閉まり、
現在、マニラ事務所では首都圏郊外にある児童養護施設の運営を中心に、日本国内での活動も徐々に増やし、危機的な状況にある子どもたちを守る活動を行なっています。

この30年の間には何度も活動継続の危機があり、今もなお財政的に厳しい状況は続いていますが、アイキャンには20年以上も働いている現地スタッフや、一度アイキャンを離れても戻って来るスタッフなど多くの人財に恵まれ、スタッフ一丸となってこの危機を乗り越えようと頑張っています。

私自身も虐待サバイバーであり、親から適切な養育を受けずに育ちました。幸いなことに周囲の大人たちが手を差し伸べてくれ、今の私があります。
でも、世界中には親から育児放棄され、生命の維持を脅かされる子どもが多くいます。私は自分自身の経験から、子どもは親から育児放棄されても、周りの人たちからの支えで必ず立ち直れると信じています。

30年という節目を迎え、アイキャンはこれからも力を合わせて活動を継続してまいりますので、
どうかみなさまからもお力を貸してください。
今後もかわらぬ応援をどうぞよろしくお願いいたします。


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