4月12日は「路上の子どものための国際デー」 「僕たちのことを知ってください」 ~元路上の子ども・マーティン君の声~
毎年4月12日は「路上の子どものための国際デー」です。この機会に、路上の子どもたちが置かれた現状、声を知っていただきたいと思い、かつて路上で暮らしていたマーティン君(仮名)の声をお届けします。
■元路上の子ども・マーティンくん(12歳)の声
僕は、お父さんのことを知りません。3人のお兄ちゃんたちと一緒に、幼い頃お母さんに捨てられてしまったので、お母さんがどんな人だったのかも思い出すことができません。
僕は生きるために、物乞いやゴミ拾いをしたりしながら過ごしていました。路上でお金を稼ぐのは本当に大変で、今日はご飯が食べられるかな、明日はいくら稼げばいいのかなっていつも考えていました。ただそれだけ。他のことは何も考えていませんでした。
ある日、市の役人に補導され、政府の保護施設に連れて行かれました。その後民間の保護施設を転々としていましたが、最後にいた施設が資金難で閉鎖されることになり、アイキャンのスタッフが「子どもの家」に移ることを提案してくれました。
「子どもの家」*で暮らし始めてからは、規則正しい生活をして体調もいいし、いつも正しい道に進んでいると思うことができます。寮母さんもとてもいい人で、色々と助けてくれるので大好きです。
路上での生活は本当にひどかったので、そこに戻りたいと思ったことはありません。勉強してもっと知識を増やし、進学したいです。そして、今も路上に住んでいる子たちを助けたいと思っています。将来結婚したら、一生懸命働いて自分の子どもを学校に通わせ、愛情ある家庭で幸せな人生を送りたいです。
*子どもの家…アイキャンが設立した児童養護施設。
路上で眠る子どもたち
■私たちの願い
路上で長い間身体的・精神的暴力にさらされてきた子どもたちは「僕はこれまでもこれからも路上で生きるしかないんだ」と冷静に話します。しかしマーティン君のように、安全な場所で、信頼できる大人に見守られながら暮らす中で、徐々に自分の「力」や可能性を見出し、「自分も夢を持ってもいいんだ」と、自信や希望を持てるようになります。そうして「路上以外で生きる道」を選択できるようになるまで、私たちはともに歩み続けたいと考えています。
■ご寄付のお願い
どうか「路上の子どものための国際デー」をきっかけに、フィリピンの路上の子どもたちに想いを馳せていただき、ご寄付を通して私たちの活動を応援していただけますと幸いです。
お預かりするご寄付は、以下の活動及びその運営に役立てさせていただきます。
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■路上の子どもたちとアイキャンの活動
アイキャンは、マニラ首都圏の中でも特に路上生活をする子どもが多い地域で活動しています。路上の子ども一人ひとりの「声」を聴き、「居場所」をつくる活動を通して、「路上の子どもたちが、路上生活以外の選択肢を知り、それを選択できる社会」を実現したいと思っています。
■実施中および今後実施したいと考えている活動
【1】命を守り生きる基礎をつくる活動
・アイキャン職員による地域巡回見守り活動
・出生登録の手続き
・けがや病気を予防、治療するための保健・衛生活動
・児童養護施設「子どもの家」の運営
【2】 選択肢を増やす活動
・路上教育の実施
(読み書き・計算・道徳教育、薬物の危険性や基本的な病気予防の知識等の提供)
・復学のための手続き
【3】 未来をつくる活動
・ソーシャルワーカーによるカウンセリング
・かつて路上で暮らしていた若者へのリーダー研修の実施
(現在も路上で暮らす子どもたちの模範的存在として、路上教育を担う人材として育成)
ソーシャルワーカーによるカウンセリング
■「路上の子どものための国際デー」とは
毎年4月12日は「路上の子どものための国際デー」です。世界中に何百万人も存在する路上の子どもたちに対する、各国政府や組織、個人の意識を高め、子どもたちの権利が守られるよう呼びかけるため、2011年に始まりました。