マンスリーレポート2023年5月号

フィリピン事業「ともに活動するために、子どもの声を聞く」

<「路上の子どものための国際デー」>
4月12日が「路上の子どものための国際デー」であることをご存知ですか? この日は、路上で生活している子どもの声を聞き、「子どもの権利」について考える日です。アイキャンは、子ども一人ひとりの声を聞くことで、その子どもたちの視点に立ち、「ともに」活動することを大切にしています。子どもたちの声を日本のパートナーの方々にも聞いていただきたいと思い、今年4月12日、「元路上の子ども」である、児童養護施設「子どもの家」の子どもと協同組合「カリエ」の若者の声を届けるオンラインイベントを実施しました。

<「物乞いは仕方がないこと」>
「子どもの家」の子どもには事前に「昔の自分と今の自分」をテーマに絵を描いてもらい、当日はその絵をもとに話をしました。ある子どもが描いた「昔の自分」の絵には、路上に座って物乞いをしている男の子が描かれていました。「どうして自分が物乞いしなければならないのかと思ったことはある?」と聞くと、「両親は仕事をしていなかったから仕方がない」と答えました。路上で物乞いをせざるを得ないことについて、政府や周りの大人を責めるわけでもなく、「そういうもの」だと受け入れているようでした。一方、「今の自分」の絵には、「子どもの家」やアイキャン職員、一緒に暮らす子どもたちが描かれており、「今は家があり、家族もたくさんいる。仕事をしなくていいし、勉強できる」と笑顔で話しました。

<「ともに」 活動する中で生まれた変化>
次に話を聞いた「カリエ」の若者は次のように語っていました。「路上で働いていた時は、それだけで周りからひどいことを言われ、見返したいと思っていた。でも、カリエでビジネスをできている今はその気持ちは薄れて、路上で働いていた自分でもできると自慢したい気持ちになっている」。アイキャンは、これまでカリエの若者たちの声を聞き、喜怒哀楽を分かち合いながら活動してきましたが、路上から脱却し、成長してきたことが自信につながり、社会に対する見方も変わったことが分かる言葉でした。

<知り、想像し、感じ、行動すること>
路上の子どもたちが、世の中の全てを悟ったように「仕方がない」と語るのを聞くと、この子たちから見た社会には希望がないのかと、胸が締め付けられます。実際に路上で生活していない私たちは、路上で生活することの悲しみや辛さを把握しきれません。また、路上の子どもから、この社会や私たちがどう見えるのかも分かりません。分からないけれど、声を聞くことで、より鮮明な想像力を働かせ、当事者の視点に近づくことができます。路上の子どもを取り巻く課題を解決するため、私たち一人ひとりが子どもたちの声を聞き、その子たちの視点から見た社会を想像し、悲しみや憤りを抱いた自分に向き合い、課題の解決に向けた「行動」を起こすことが大切だと考えています。

ICANフィリピン事務局
福田浩之
~プロフィール~
フィリピン大学修士課程、 ICANマニラ事務所インターンを経て、2013年4月に入職。社会福祉士。

貧困地域の子ども500名に弁当を提供

5つの貧困地域の子どもたちに、500食の弁当を提供しました。この活動は、Canvaフィリピン事務所との連携で昨年9月から毎月行っており、当日の調理や配布には、Canvaの有志約50名と住民約50名がボランティアとして参加しました。Canva職員からは「アイキャンと協力することで、自分たちが普段関わることのできない子どもたちに弁当を届けられて嬉しい」との話がありました。

高校生10名が街頭募金に参加

10名の高校生が、ICANの職員、インターン生とともに、児童養護施設「子どもの家」の子どもたちを応援する街頭募金を実施しました。86名の方が募金してくださり、参加者からは、「募金を入れてもらえるか不安だったけど、色々な人が入れてくれて嬉しかった」等の感想がありました。

編集者より

次回以降の街頭募金は、6月17日(土)、7月15日(土)を予定しています。ぜひご参加ください!