マンスリーレポート2025年10月号
「学び」が夢を育てるー路上の女性が語った活動の意義
報告者:インターン 浦野史彩
9月からフィリピン事務所でインターンをしている大学生の浦野です。アイキャンや協同組合カリエ*1の活動に同行する中で、路上生活をするジーナさんの話が印象に残ったので共有させていただきます。
ジーナさんは、暴力や薬物が蔓延する環境で育ちました。幼い頃、政府の福祉機関に「保護」という名目で施設に連れて行かれましたが、そこも劣悪な環境で食事もままならず、ジーナさんにとっては「逮捕」と同然だったそうです。
施設から路上に戻ったジーナさんは、アイキャンやカリエと出会ったことで教育の重要性を知り、学び始めました。そして「自分が教わったことを次世代に返したい」と、路上教育*2を担うリーダーになるための研修を受け、今では子どもたちに教える立場になっています。子どもたちに教える喜びを知り、将来は先生になるという夢もできたそうです。「自分にチャンスをくれたアイキャンに感謝している」と言っていたのが印象的でした。

私は、学ぶ機会や一歩踏み出すきっかけさえあれば、路上の子どもたちは大きく成長し変わることができるのだと感じました。今後もできるだけ多くの子どもたちの声を聞き、アイキャンの活動の意義も学んでいきたいです。
*1 カリエ…元路上生活の若者で構成される協同組合。パンや菓子の製造・販売や、路上の子どもたちへの「路上教育」を行なっている。
*2 路上教育…路上の子どもたちが「子どもの権利」を知るとともに、自らの可能性に気づき、将来を建設的に考えられるよう促す活動。
パンとチップスの先にある「力」ー路上から社会へ
報告者:日本事務局 藤目春子
路上教育の新たな担い手となるべく研修を受けている「次世代カリエ」のメンバー15名は、カリエのビジネスであるパンやチップスを作れるようになるための訓練も受けています。目的は、技術の習得によって彼らに収入の機会をつくることだけではありません。基本的な衛生や食品管理の知識を身につけたり、時間やルールを守って作業することや分担・協力することの大切さを知ったりと、社会で生きていくための基礎的な「力」をつけることです。
これまでに10人がパンを作れるようになりましたが、うまく発酵させることに関してはまだ安定していないようです。チップスはさらに難しく、4人しか上手に作れません。原材料のバナナやさつまいもを均一の厚さに削れなかったり、油の温度や揚げ時間を調整してパリッと仕上げるのが難しかったりするようです。ビジネスの戦力になるには時間がかかりそうですが、訓練の過程で様々な「力」をつけてほしいですし、路上の子どもたちにその姿を見せることで、子どもたちの新たな希望になってほしいと願っています。

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【編集者:天羽より】
カリエから次の世代へ、知識や技術が受け継がれているのを頼もしく感じています!

