マンスリーレポート2025年8月号

浸水被害で改めて馳せる、路上の子どもへの想い
報告者:「子どもの家」施設長 マリテス

フィリピンでは6月から10月が雨季にあたり、スコールも頻繁に発生します。今年は7月下旬にマニラで断続的に強風を伴う激しい雨が続き、この影響で児童養護施設「子どもの家」の周辺も大きな混乱に見舞われました。道路は冠水し車は通行不能となり、施設へ向かう道も遮断されたため、寮母たちは冠水した道路を長時間歩いて通勤しました。学校は休校となり、子どもたちはビー玉遊びや読書など室内で過ごしていましたが、時には雨の中でシャワーを浴びるように遊ぶこともありました。そんな元気いっぱいの子どもたちですが、停電や断水が起きたときには、近隣住民から水をもらうために水汲みを手伝ったり、雨が止んだ後は強風で倒れた木や枝の片付けをしたりと、積極的に行動していました。電気が復旧したときには、明るい部屋や回る扇風機に飛び跳ねて喜ぶ子どもらしい姿もありました。
このように「子どもの家」では、助け合いながら日々を乗り越えています。しかし私たちが心を痛めているのは、路上で暮らす子どもたちの状況です。生活の場は浸水し、横になって寝られないので立ったまま、不安な日々を過ごしていたことでしょう。このような災害時こそ、路上の子どもたちにも安心して過ごせる場を確保したいとより強く思います。アイキャンや「子どもの家」がその役割を担えるよう、どうか引き続き応援をお願いします。


子どもたちの「夢をつくる」ツアー
報告者:岐阜出張所 吉田文
8月6~10日、スタディツアーを開催し、高校生~社会人計12名が参加しました。今回参加者と交流した路上の子どもたちの中には、初めて日本人に会うという子もいました。初めは参加者も子どもたちも緊張気味でしたが、あっという間に打ち解け、声をあげて笑ったり、いたずらをし合ったり抱き着いたりと、笑顔が絶えませんでした。そしてお別れのときにはお互い涙を流すほど、最後の時間を惜しんでいました。
最終日前夜、一緒にツアーを引率してきたカリエのメンバーのジンボイが、私に話してくれました。「僕が以前、路上の子どもの一人として遠足に参加したとき、マサキという日本人に出会った。そこから『いつか日本に行く』という僕の夢が始まったんだ。その想いを胸に、何があってもアイキャンの活動には参加し続けよう、自分を変えようと頑張ってきた。スタディツアーは僕たちにとってドリームメーキング(夢をつくる)ツアーなんだ。」
日本の方にとってのスタディ(学びの)ツアーは、子どもたちが夢をもち、その夢を叶えよう、今の自分を変えようと頑張るきっかけとなっています。そんなツアーを開催させてくださる皆さんに、心より感謝しています!
*カリエ…元路上生活の若者で構成される協同組合。パンや菓子の製造・販売や、路上の子どもたちへの「路上教育」を行なっている。


<鉛筆を握る姿から感じる希望>
夏募金の目標達成により、路上の子どもたちの「学ぶ権利」を守るための活動を続けることができています。子どもたちが鉛筆を握りしめ、一生懸命文字を書く様子に、私たちも改めて希望を感じることができました。応援してくださった皆さまの期待に応えられるよう、これからも子どもたちが学び続けられる環境を守っていきたいと思います。


【編集者:天羽より】
通常のスタディツアーは3月と8月に開催していますが、それとは別で参加5名以上による貸切ツアーも実施できます。ぜひご相談ください!

*スタディツアーについて、詳細はこちら