マンスリーレポート2025年6月号

地域巡回だからこそ聞ける子どもたちの「声」
報告者:協同組合カリエ ジンボイ

 協同組合カリエ*1のジンボイです。カリエの活動の一つに「地域巡回」があります。これは、路上教育などを行わない日に子どもたちのいる地域を訪れ、普段の様子を見たり、何気ない会話から彼ら・彼女らの思いを知ったりするためです。
 先月は、ある地域の「次世代カリエ*2」の子どもたちに会いに行きました。カリエの活動がない日に何をしているか聞くと「友達と遊ぶこともあるけど、弟や妹の面倒を見ないといけないので家にいる」「昼は家事と勉強、夜は路上で働いていて毎日寝不足。家では母がいつも私に怒ってばかり」―と、家庭での悩みや不満などが出てきました。しかし、今後のカリエの活動に話が及ぶと「カリエでの活動はワクワクする。私が現実から逃れて幸せになれる唯一の場所だから」との声がありました。家庭での問題に僕たちカリエが直接対処できるわけではないことはもどかしく感じますが、子どもたちが家族への思いや悩みを話せる場をつくることは、信頼関係の構築においても意義があると思っています。子どもたちにとって大切な「居場所」となっている活動を誇りに思うと同時に、維持していきたいと改めて感じました。どうか僕たちカリエの活動を引き続き応援してください。
*1…元路上生活の若者で構成される組織。パンや菓子の製造・販売や、路上の子どもたちへの「路上教育」を行なっている。
*2…カリエによる研修を受け、「路上教育」の新たな担い手となった若者・子どもたち。


子どもたちに命を守る力を
報告者:理事 松浦宏二
 アイキャンの理事でフィリピン在住の松浦です。学校の長期休み中の5月、児童養護施設「子どもの家」では、アイキャンの依頼を受けた地元の高校の先生が子どもたちに無償で特別研修を行なってくれました。テーマは「災害時の救急法」で、新学期を迎えるにあたり災害や突然の事故に備えるための対処法です。日常生活での病気やケガ、災害のリスクについての講義のあと、実践的なスキルを練習しました。子どもたちからは「地震の時に机の下に隠れるなどの避難方法、包帯の巻き方、骨折の際の添え木の当て方、ケガ人の運び方などを学べて、とても自信がついた」「今日学んだことを活かして自分や大切な人を守りたい」などの感想がありました。
 「子どもの家」が提供しているのは、最低限の衣食住や学校教育の機会だけではありません。こうした命を守るためのスキルや、自分の人生を築いていくための考え方など、子どもたちが生きていくのに必要な知識やスキルを学ぶ機会をつくっています。今回の研修も、学校へ行くだけでは学べない経験やスキルを身につける「教育活動」の一環といえます。私たちは、子どもたちの今の暮らしが、将来も自分を支える力を身につける機会となるように、様々な学びの場を提供し続けたいと考えています。


<オンライン活動報告会のご案内>
7月10日(木)19時から、2024年度のフィリピン事業報告会を行います。事務局長の福田が、先月の出張での話も交えて「リアル」にお伝えします。ぜひご参加ください!
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【編集者:天羽より】
「鉛筆1本すら買えない」―そんな理由で、今まさに通学を諦めようとしている子どもたちの「学び」を守りたい。夏募金に込めた私たちの想いです。どうかご協力をお願いします。詳細はこちら