マンスリーレポート2025年5月号
遊びと学びに夢中な子どもたちの長期休み
報告者:インターン 渋江彩花
フィリピン事務所でインターンをしている大学生の渋江です。それぞれの学年を修了し、6月中旬の新年度開始までの長い休みに入った、児童養護施設「子どもの家」の子どもたち。みんな学校が始まるのを心待ちにしています。休みの間は、庭で大好きなバスケットボールやバドミントンを楽しみながら元気に過ごしています。庭の木にはサントル(マンゴスチンに似た果物)がちょうど食べ頃に実っていて、私たちが見ていてヒヤヒヤするほど高いところまで登って収穫しています。また、木に取り付けた簡易ブランコでも遊びながら、のびのびとした毎日を過ごしています。
この長期休みは、進級に向けた準備期間でもあります。学校では希望者を対象に補習の授業を設けており、「子どもの家」からも受講している子がいます。特に、英語の補習授業を受けているパトリック君(仮名)は、普段からタガログ語ではなく敢えて英語を使って私に話しかけようとしていて、一生懸命な姿を見ていると応援したくなります。またベンジー君(仮名)は、私たちインターン生が作った日本語の教科書を使って自習に励んでいるようで、覚えた日本語を沢山使って話しかけてくれます。
学校の授業や宿題がなくても、こうして自ら勉強に励む姿に感心します。「子どもの家」で暮らす前は学校に通えていなかった子どもたちなので、学べることが当たり前ではないことを肌で感じているからかもしれません。子どもたちには、勉強よりも生きるために食べることを優先せざるを得なかった経験があると聞きました。それは彼らにとってつらい記憶ですが、だからこそ、学校に通える喜び、勉強の楽しさを人一倍感じることができるのだと思います。
今も路上にいる子どもの多くは、様々な理由で学びを諦めています。当たり前のように教育を受けてきた私は、彼らの声を聞くと心が痛くなります。どうか一人でも多くの子が学びを続け、望む未来を実現できますように。
道行く人の心を動かした声
報告者:日本事務局 長谷川薫
アイキャン名古屋事務所では、定期的に街頭募金を実施しています。先月は、「路上の子どものための国際デー」である4月12日に、学生と社会人ボランティアさん計22名にご参加いただきました。4月なのに汗ばむほどの暖かさの中、それぞれの言葉で路上の子どもの置かれた現状を伝え、協力を呼びかけたところ、77名もの方々から募金を頂くことができました。沢山の荷物を持ったお買い物帰りの方や急ぎ足の方が、足を止めて呼びかけに耳を傾け、寄付をしてくださったのは、ボランティアの皆さんの真剣な呼びかけのおかげです。お預かりした募金は、路上の子どもたちが貧困から抜け出すきっかけを作る活動に、大切に活用させていただきます。
【編集者:天羽より】
どうしたら道行く人に協力してもらえるか、街頭募金で呼びかける言葉やチラシの配り方などを一緒に考えて実践してくださるボランティアさん。路上の子どもの課題を「自分事」と捉え、行動してくださる皆さんを、ともに活動する「パートナー」として心強く思っています。
アイキャンでは、まもなく新学期を迎えるフィリピンの子どもたちが学びを続けられるよう、「夏募金」を実施します。ぜひこちらから詳細をご覧いただき、ご協力をお願いします。