マンスリーレポート2024年6月号

子どもの家「表彰式の舞台裏―嬉しさだけではない感情」
報告者:事務局長 福田浩之

 5月30日、児童養護施設「子どもの家」で暮らす子どものうち4名が成績優秀者として表彰されました。これまでの努力が結果に結びつき、子どもたちも私たちも誇らしく、飛び上がるほど嬉しいことでした。ただ、子どもたちの行動から、私たちは「嬉しい」だけではない感情を感じています。
 4名の子どもたちは全員、路上にいた頃に学校に通えていなかったために、実年齢よりも低い学年に在籍しています。表彰式前に予行練習がありましたが、周りの子どもより体が大きく目立ってしまうことから、恥ずかしくて堂々とできず、ステージに上がることを躊躇する子どもたちの様子がありました。それでも表彰式当日、3名はステージ上でメダルを受け取りましたが、1名は最後までステージに上がることができませんでした。帰宅後、その1名にはスタッフからメダルを渡し、ようやく彼らしい笑顔が見られました。そして「また表彰されるように頑張る!」と言ってくれました。
 彼らは「自分たちは他の子どもとは違う」と、時には恥ずかしさを感じながら過ごしているようです。それでも、未来のために勉強を頑張る、私たちにとって誇らしい子どもたちです。


協同組合カリエ「新たな地域での活動をスタート」
報告者:フィリピン事務所 Joan Javier

 元路上の若者の協同組合「カリエ」は、パンや菓子の製造・販売によってビジネスを成功させ、路上生活から抜け出すことを目的に活動しています。自分たちの成功を追い求めるだけではなく、同時に、他の路上の子どもたちが自らの可能性を知り、路上生活から抜け出すための行動を起こせるよう促す研修も行なっています。昨年度は、「カリエ」メンバーが暮らす地域の子どもたちに研修を行っていましたが、さらに多くの子どもたちに路上生活から抜け出すきっかけをつくれるよう、今年度は新たに別の地域での活動を始めました。
 活動は、まずその地域を知り、子どもたちと関係をつくることからスタートします。初めての聞き取り調査を終えた「カリエ」メンバーからは「これまでの地域よりもさらに路上の子どもの数が多いと感じた。まずは自分たちを信頼してもらえるよう、この地域の人々や子どもたちに丁寧に活動を説明していくと同時に、活動場所については役場にも協力を求めていきたい」などの声がありました。


<7月のイベント案内>
◆オンラインイベント 7月17日(土) 19時00分~20時30分
 元路上の若者による協同組合「カリエ」のこれまでの活動や今後の目標についてお話する第2回です。第1回とは別のメンバーの声や想いを、直接聞いていただけます!
*お申し込みはこちら

◆クラウドファンディング 6月23日(日)~8月25日(日)
 「カリエ」メンバー4名が10月に来日予定です。ぜひ応援してください!
*詳細はこちら

【編集者:天羽より】
 自分たちのことだけでなく、他の路上の子どもたちのことを思って活動するカリエの想いに、いつも心を打たれます。そんなカリエを応援するイベントにぜひご参加ください!